WORKS 点検のシゴト

誰も知らない、見ていないその陰で
日々、手を抜かず火災のない日常を
守り抜いていく「最後の砦」。

マンションやビル、工場、商業施設、時には地下鉄、アミューズメントパークまで、多くの人が使う建物には様々な防災設備が取り付けられています。1つ1つ丁寧に確認しながら、正しく作動しているかを見極める。点検の仕事は、あらゆる場所の日常を守る「砦」なのです。人の目に触れないシーンでも絶対に手を抜かない責任感が求められる、そんな点検担当者の「1日の流れ」をご紹介します。

若手の1日をご紹介します!
大藏

点検に回る現場は1日平均3〜4か所。建物によって点検する設備も、その数も様々です。効率よく、見落とすことなく進めるにはどうすればよいか。事前にシミュレーションしながら、現場でバディを組む先輩とともに、都度状況を共有して日々の点検業務に取り組んでいます!

大藏 涼也(おおくら りょうや)
2023年4月入社
専門学校電業技術学科 出身
第2技術本部 技術2課 所属

 AM7:30  出社

半田市から通っているため、6時半までには自宅を出て電車通勤しています。担当する現場は約1ヶ月〜遅くとも1週間前には決まっているので、必須の道具は前日にセット済み。朝礼までの時間は、その日に行う点検の段取りなどを確認しながら過ごします。

 AM8:00  朝礼・積み込み

朝礼が終わると、道具が揃っているかを再度確認。点検現場で劣化や動作不良が見つかった場合に備え、取替用の設備も積み込んでおきます。

 AM8:20  現場へ出発

一緒に担当する先輩と社用車に乗り込んで、いざ出発。現場は車で1時間以内で行ける名古屋市周辺の市町が多いです。運転は交代制にしていて、行きの運転が僕なら帰りは先輩が送ってくれます。社用のワゴン車はマニュアル車(MT)もあるので、在学中にMT免許を取得しておくと働きだしてから役に立ちますよ。

 AM9:00  現場到着、作業開始

点検は基本的に2人1組で担当します。現場の多くがマンションのような集合住宅で、全体の7割くらい。そのほかにも規模が大きい工場や商業施設などにも点検に行きます。主に点検する設備は、消火器、自動火災報知設備、誘導灯、避難ハシゴなど。各設備の点検方法は一緒でも、建物の種類や規模などによって点検するモノや数が変わります。

 

「マンションにはあって、工場にはない設備」などの違いを把握しておくのも、この仕事では不可欠。ルーティンワークのように見えて、点検する設備も、かかる時間や進行も都度違います。だからこそ現場ごとの地道な積み重ねが、点検に必要な知識や技術を磨いていく上でとても大事なんだと感じます。

ここだけの話ですが・・・①

マンションでの点検でかけられる
「ありがとう」がめちゃ嬉しい。

 

マンションでの作業は、先輩は専用部と共有スペースにある消防設備を、後輩は各住戸を訪問して部屋の中の消防設備の点検という役割分担で進めることがほとんど。後輩である僕のほうが圧倒的に点検数は多いし、サクサク進めないと時間内に終わらないし、居住者様への気遣いも求められる。だけど、点検した住戸の数だけ感謝されるから「ありがとう」の数は当然、先輩以上!大変だけど頑張るチカラになるし、「大事な仕事を任されているんだ!」と思えて、仕事の意義を実感できる瞬間です。

 PM12:00  お昼休憩

昼休憩は1時間。現場周辺にある飲食店で食べることもあれば、買ってきた昼食を社用車の中でサクッと食べて済ませたり。その日に回る現場の数や、作業の進み具合などによって様々です。

 PM13:00  次の点検現場へ

小さい現場なら、1日に3〜4件回ることはよくあります。一方で、スーパーやドラッグストアなどの商業施設だと半日、大きな工場なら1日がかりになる時も。広くて設置数が多いこともありますが、多くの人が集まったり、働いていたりする場所に必須の煙感知器をはじめ、防火シャッター、防火扉、非常用放送設備などの点検は入念に行う必要があります。「ここぞ」という時に作動しなければ、たくさんの尊い人命を奪いかねないからです。

 PM14:30  時には高所点検も

作業では、後輩である僕が基本的な消防設備の点検を行いつつ、点検の難易度が高い設備は先輩が担当。例えば、救助袋の降下テストや避難ハシゴの作動点検などは若手が担当することが多いです。初めてのうちはドキッとしますが、安全を守るための設備ですから大丈夫です。すぐに慣れます。

 

その他にも放送設備は、スピーカーを使って音声によって建物内の人々に知らせ、避難誘導を行うものなので、先輩がテスト放送を流して動作確認し、適切に流れているかを僕が確認します。煙や火災の混乱から人々を救うための重要な設備ばかりで、確認する目にも、点検する手にもチカラが入ります。

ここだけの話ですが・・・②

保育園や幼稚園、高齢者施設などは
作業時こそ目配り・気配りを。

 

点検作業は人がいない時間帯に行う時もあれば、その空間で働いていたり過ごしたりしている時間に行う場合も少なくありません。特に小さな子どもたちが過ごす保育園などでは、危険が及ばないように、点検で使用する竿のような工具や脚立を利用する時は、ひと声をかけてから運びます。高齢者施設では寝ているお年寄りが驚かないよう、音が伴う作業の場合、事前に始める時間をアナウンスします。自分の振る舞いが、会社のイメージに直結するのがこの仕事。相手の立場に立って行動することが増えて、人としての成長にもつながっているように感じます。

 PM16:00  帰社

各現場の点検結果をまとめる報告書を作成します。翌日に担当する現場はすでにわかっているため、必要な点検道具を準備したり、段取りをシミュレーションしたりします。

 PM18:00  退社

17:30には業務を終了し、18:00には退社。集中力と体力を使う仕事だからこそ、できるだけ早く帰宅して、しっかりと休んで翌日に備えます。

ここだけの話ですが・・・③

普段目にしない世界を覗き見できた
「特別感」にワクワク。

 

入社1年目の頃、先輩について名古屋市内にある某遊園地の消防設備の点検へ行きました。休園日の朝イチに訪問。お客様がいない園内に入るのも初めてで、アトラクションの構造や裏側を見るのも初めて。当時はまだまだ新人で、目に見える場所にある消防設備しか認識していませんでした。でも、アトラクションを楽しむお客様からは目立たない場所にあるにも関わらず、火災や煙を確実に感知できるように設置されているのを知って、勉強になりました。早朝の数時間で終了した作業でしたが、視野が広がった経験でした。

点検のシゴトとは?
何にも代えられない
「当たり前」の小さな幸せは
点検なくして守れない。
大藏

就職する以前は、責任を持って何かに取り組むことは1度もありませんでした。なのに就活で目にした求人票で「消防設備」という言葉に惹かれたのは、働くなら責任とやりがいを持てる仕事をしたいという気持ちが根っこにあったからだと思います。

 

建物内にある消防設備を1つ1つ点検していく仕事は、一見すると地道な作業に見えるかもしれません。それでも日々点検業務を行うなかで、マンションに住む人、保育園で過ごす子どもたち、ビルや施設で働く人たちと接するうち「安心して過ごせる空間を維持しなければ」という使命感がフツフツと込み上げてきました。いざという時に作動してこその消防設備。これからも真面目に、思いやりと責任感を持って点検作業を続けたいと思います。

OTHER CONTENTS